神父は魔法使いを知っている(創作小話です)

神父は魔法使いを知っている(創作小話です)

どもーサムハンキンポーです~。
今日は創作小話をつくりました。
あなたは何か願いを叶えてもらいたいことはありますか?
その願いを叶えてくれるのは誰でしょう。
もしかしたら一人じゃないかもしれません。
あるいは予想外な人が叶えてくれるかもしれません。
まぁ、それは読んでみてのお楽しみということで。

ではでは~。

エリックは深い森の中でコオロギの音色を静かに聴いていた

リンリーリンリー
リーリーリーリー
リンラララリー

どうやら他の虫達もリサイタルに参加してきたようだ
重なる音が乱雑になっていたが
次第に不協和音がなくなり
耳に心地良いものへと変わっていった

エリックは感心しながら 聴き続けた

すると北の方向からオオカミがゆっくりと近付いてきた
茂みをかき分け エリックに溜め息をつきながら呟く
「またお前さんかい。今日は何の用だ。」

エリックはコオロギ達の方を見ながら答える
「こんばんは。いや、まだこんにちはなのかな? ええと、魔法使いに会いに来ました。」

草露の匂いを嗅ぎながら聞いていたオオカミは 困ったように顔を横に振った
「はぁ、またそれか。ワシは知らないよ。大体、この森に魔法使いがいるなんて聞いたことがないからね。」

コオロギ達の音楽は終わっていた
それでもまだエリックはその虫達がいる方に向いていた
そして心の中でオオカミが言っていたことを反芻させている
何回目かで リピート再生が終わると ようやくオオカミの方に向き直った
「そうですか。この森にいると聞いたのですが。嘘だったのかな。」

ガッカリした表情をするエリックを見て 可哀想に思ったオオカミが質問する
「誰がそんなことを言ったんだい?」

肩をすくめてエリックは答える
「チャールズ神父です。」

オオカミは一点を見つめ考え込むが その神父を聞いたことがなかったので 再度問う
「うーん、知らないね。そいつがこの森に魔法使いがいるなんて言ったのかい?」

エリック
「そうです。神父様は、魔法使いが夕暮れ時になるとこの森に現れ、妖精とお話しすると言っていました。」

オオカミ
「ふーん。それじゃあ、妖精に魔法使いのことを聞けばいいんじゃないかい?」

そう言われてエリックは目を丸くした
「どうしたら その妖精に会えるのでしょうか?」

オオカミ
「今から案内してやるよ。妖精には暇なとき、会いに行くんだ。」

エリックは嬉しくなり頭を下げた
「ありがとうございます。お願いします。」

そしてオオカミは北の方角へ進んでいき その後を遅れないように速足で追うエリック
すると日が沈んだ森のどこかで 話し声が聞こえた
もう辺りは暗くなっており周りを見渡しても 何も見えなかった

不安が襲ってくる

なんとかオオカミの姿はぼんやり見えるので 必死でついていく
オオカミもエリックがちゃんとついてきてるか 途中何度か振り返って確認していた
やがて 進んだ先にキラキラ光るものがあり 明るくなっている方向は 逆光のせいで何も見えなかった
笑い声や話し声が一層大きくなっていた

森の中を抜けると拓けたようになり そこは泉のほとりになっていた
夜空が見えてそこから月の光が射し込み 泉の水面に反射して明るくなっていたのだった
そして泉のあちこちで妖精達が輝いて飛び回っている
妖精は光を発していて 姿が見えないが 月の光が当たるとどういうわけか うっすら姿形が確認できた

オオカミは辿り着くと 一息ついてエリックに顎で妖精達を指して言う
「ほら、着いたよ。あの子達に聞いてみるといい。魔法使いの居所が分かるといいが。」

エリックは深く頭を下げて感謝の意を伝えた
そして近くで話をしている妖精二人組に尋ねる
「こんばんは。あのう、この辺で魔法使いを見かけませんでしたか?探しているのですが。」

話を中断し 二人の妖精が顔を見合わせて首を傾げる
「魔法使いを私達は知らないわ。見たことないわね。」

そう言うと妖精達はお喋りを再開する
エリックは残念に思いながらも 他の妖精達に尋ねていく
しかし皆 知らない 見たことないと答えるのだった
希望がなくなってしまったと感じたエリックは泣いてしまう

オオカミは心配になり涙を流すエリックの傍に来た
「おいおい、泣かないでおくれよ。魔法使いのことはわからなかったのかい?」

エリックは泣いたまま黙って頷く
オオカミは困ってしまい尋ねる
「お前さんは一体何故、魔法使いにこだわるんだい?目的を教えてくれよ。」

一時の沈黙があったが エリックはゆっくりと口を開いた
「メアリーが、妹なんですけど、流行り病にかかってしまい、命が危ないみたいなんです。」
鼻を啜って続ける
「それで、どうにかして治らないか村の人々に聞いて回りました。だけど誰も首を振るだけで。どうしても諦めきれなくて、最後の頼みで村の外れにある教会に行きました。そしたら、そこにいた神父様に相談して、魔法使いがこの森にいるから、その魔法使いに頼んで霊薬をもらうよう言われたのです。しかし、どこにもいない。」

言い終わると俯いてしまったエリックにオオカミが答える
「そういうことだったか。それならワシに任せろ。」

そう言われてエリックは顔を上げて オオカミを見つめた
「え?でも、魔法使いがいないと霊薬を作ることは出来ないんじゃ…。」

オオカミは笑って言う
「いや、確かに魔法使いはいないが、流行り病を治せる薬は作れるかもしれん。ちょっと待ってなさい。」

するとオオカミはキチンと座り直し 月に向かって遠吠えを笛の音色を奏でるように吹いた
月に照らされた木の上に立っていた一羽のフクロウがこっちに飛んでやってきた

華麗にほとりのとこに着地すると 少し怒っていたようでオオカミに言う
「全く騒々しい。吠えるのは満月の日だけにしろといっとるじゃろ。それ以外は静かに呼んでくれんかのう。」

オオカミは笑って答える
「いや、すまんね。急ぎの用だったからね。頼みがあるのだが、ここを北に進むとアダージョの崖があるだろ?そこに咲いてるユリウスの花を摘んできて欲しいのだよ。」

フクロウは膨れっ面で返事をする
「ふん、人使い、いやフクロウ使いが荒いんだから。いきなり呼ばれてお使いを頼まれるとはの。ふん、この前の借りがあるからな。しょうがない、特別に行ってきてやるとするかの。」

怒りながらもなんだかんだで すんなりOKを出したフクロウは飛び立ち北へ向かった

それを笑いながら見送るとオオカミはエリックに指示を出す
「いいかい、フクロウが摘んできてくれる花を、そこの泉の水で浸すんだ。その後に、妖精に頼んで光の粉を分けてもらいなさい。その粉を花びらにまぶすのだ。すると色が変わる。これで完成だ。後は、再度泉の水を汲んで、花びらと一緒に飲めば治るはずだよ。いいね?」

エリックは力強く頷くと 早速落ち葉で使えそうな大きな葉を探して 水が溢れないように皿を作った
そして妖精に声をかけると 事情を説明して光の粉を分けてもらった
光の粉も丈夫な落ち葉に乗せて準備を整えた
そしてフクロウがユリウスの花を持ち帰るのを待っていた

暫く経ち 北の方向から 星空の中に一羽の黒い影が見えた
フクロウはくちばしに一輪の花をくわえ よろよろと飛び なんとかほとりに辿り着いたのだった
「はあはあ。戻ったぞ。これで間違いないか?はあはあ。」

息が上がっているフクロウにオオカミは手厚く迎える
「おお、無理をさせたな。まさしくそれが、ユリウスの花だ。これでどうにかなる。本当に助かったよ。」

エリックもお礼を言ってオオカミと一緒に頭を下げた

フクロウはゼイゼイ呼吸しながらも 態度は崩さず答える
「ふん、これくらい朝飯前だよ。いいか?これであの時の借りは返したからな。もう吠えても満月の日にしか来ないからな。絶対だぞ。」

オオカミは笑顔で頷いた
「ああ。ありがとう。これからはちゃんと満月の日に呼ぶとしよう。」

そしてフクロウからユリウスの花を受け取り オオカミに言われた通りに作業を始めるエリック

ついに薬が出来上がった

嬉しくてまた涙が出たエリックは皆にお礼を言った
「本当にあなた達のおかげです。感謝しかありません。私はあなた達が神父様の言っていた魔法使いだとわかりました。あなた達に出会えて良かったです。」

オオカミは言った
「さて、それはどうかな。村に帰って妹さんにそのみずを水を飲ませれば、きっとわかるだろう。もう今日は暗いから、ここで休んで日が上る頃に帰りなさい。」

オオカミは静かに静かに呼んで森の中に入っていき フクロウは高い木の上に戻り エリックはいつの間にか眠っていた

翌朝空が明るくなり エリックは目を覚ますと 辺りはしんと静まり返っていた
オオカミもフクロウも妖精もいなかった
泉も静かな色合いに変わっていた

エリックは村に戻り 急いで家に帰ると妹に手作りの薬を飲ませた
数日経ち妹のメアリーはみるみる元気になり 村中で評判となった

そしてエリックは残った薬を村の人々にわけてあげた
皆の病気が治っていき 皆感謝した

やがてエリックは

魔法使いと呼ばれるようになった

その名付け親がチャールズ神父であることを彼は知らない

はい。

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