「悪球打ちのロックデーモンに習え!ど真ん中のボールは打つな!!そしたら簡単にホームランや!!!」
前回の続きでーす
「おいドブス。お前ホームラン打ちたいんやないの?」
「え?ホームラン?いや特に…野球やったことないですし」
「どあほ!野球のことちゃうわ!!結婚相手のことや!!」
「す、すみませんでしたぁ~。そりゃあ、打てるもんなら打ちたいわよ」
小さな事務所と思われる一室で 向かい合ったソファーに座る女性と大男が話し合っていた というか喧嘩に近い
マチルダという綺麗な女性は婚活を頑張っているが 中々希望の男性と縁がなく悩んでいた
そこにロックデーモンという口の悪い大男に アドバイスを聞こうと決心し 事務所に呼んだ次第である
「ふん、打ちたいんやないかい。ほんならな、アドバイスしたるわ」
大男はそう言うと鼻くそをほじるのを止めて ズボンのポケットから野球のボールを取り出す
「ええか?まずは球を絞れ」
「は?」
「球を絞れ」
「は?」
「だから投げるボールを絞るんや!お前舐めとんのか!?」
「いや、何言ってるのか分からないのよ!アナタこそさっきからずっと鼻ほじって馬鹿にしてんじゃないの!?」
「じゃかあしい!鼻ぐらいほじらせんかい!ええか?ドブスは高収入、高学歴、高身長のええ男と結婚したいんやろ!?その話をしとんのじゃい!」
鼻くそをほじりながら叫ぶ大男は唾を飛ばしながらまくしたてる
女性も負けない
「だから!それについて話を聞いてるのになんでボールを絞るのよ!意味が分からないからちゃんと説明しなさいよ!」
「例えや!そんな簡単に答えを教えたら自分で考えなくなるやろ!想像して考えんかい!!」
言いながら大男は握ったボールを女性の目の前に突き出した
「もう一度言うで。投げてくる球を絞るんや。そう何球もチャンスがあるわけやない。今までずっとバットに当てられてないねんやろ?なら決めとくんや。ストレートを待つのか、カーブか、それともスライダーか、はたまたフォークか。シュートでもええ。この球と決めたら狙うだけや」
そう言われた女性は腕を組んで考える
「何となくだけど言いたいことは分かってきたわ。だけど、それ既にやってるわ」
「ほんまかいな」
「ええ、本当よ。というか、アナタに男性の条件言ったじゃない。そういう意味でしょ?」
「確かに大筋は合ってるけどな、振れてないやろ?実際にその球が来ても空振りするか、見逃してるわけやから、ほんまはぶれてるんとちゃうん? 」
「ぎくっ」
「一打席目三振したから、次は妥協して違う球を狙った方がええんやないかなぁ~とか思って迷いが生まれてるんやないの?」
「ぎいぃくうぅっ」
「あんな?それ、絞ってるとは言わへんで?相手のリードにハマってるだけやで?」
「…すみませんでした」
女性は痛いとこを突かれたように 前のめりで項垂れるような状態で謝った
「まぁ、そういうことやから、自分の信念を貫くことやな。そして相手や周りの情報に惑わされないことや」
「確かに…条件決めたけど、周りから理想高すぎとか言われて、妥協しようとしたり、いざ目の前に現れても慌てて…それこそ空振りしてたわ。絞れてたように思ってたけど、実はちゃんと絞れてなかったのかも」
大男は鼻くそをほじりながら大きく伸びをする
そこに中年の男がやってきて大男に水を出す
「おっちゃん遅いわ。わいが超人やから良いけどな、普通のやつやったら脱水症状なってるで!?」
「ふぁっふぁっふぁっ。すまない、ついつい君達の話に聞き入ってしまってね。中々面白いじゃないか」
「せやろ。けどもう一つドブスにとって大事なことを教えといたるわ」
女性はガバッと起き上がり大男に言葉を続けさせる
「ええか?コースについてやけど、ど真ん中の球は狙うな。というかストライクゾーンの球は打つな!分かったか?」
「分かるわけないでしょ。まったく…ちゃんと聞くから、なるべく分かりやすく説明して」
「しゃあないなぁ。凡人にも分かりやすく教えたるわ」
「普通は皆ストライクゾーンっちゅうのがあるよな?特にど真ん中のボールは大体のやつには絶好球や。だからど真ん中のボールを打ちたがる。
しかしな、そう何度も絶好球が来るとは限らん。だからある程度のコースも念頭に入れておくわけや。
ここまでの範囲で決める、尚且つそこからアウトローも打てるように狙う、という感じやな」
鼻くそをほじりながら説明する大男を 真剣な眼差しで聞いていた女性は質問を投げ掛ける
「ふむふむ。そんな中で私は、そのストライクゾーンの球は打たないということだけど、それって妥協することではないかしら?」
「ちゃうな。気付くということや」
「気付く?」
「そうや。ドブスの条件も細かいわけではないやろ?例えば、高学歴、高身長、高収入で顔が良い男を狙ってると言ってたけどな、年齢がなかったのは何でや?」
「年齢?うーん、特に気にしてなかったから挙げなかっただけだけど」
「普通のやつやったら、何歳ぐらいを希望するん?」
「えー?大体だけど、二十代後半から頑張って四十代後半までかしら」
「ドブスは何歳までいける?」
「私は…五十代後半までかな。あ、でも最近六十代でも若い人多いから、イケメンであれば前半までならアリかな」
「そういうことや」
大男は鼻くそをほじりながら女性に指を指す
「つまりな、一般的なストライクゾーンの外を狙うわけや。わいに言わせれば、今のは年齢の範囲を確認(気付いた)しただけで、妥協はしてへんやろ?ランクを下げたとか、嫌々条件を下げたわけやない。
だから、自分自身では特にモヤモヤすることなく、そのゾーンも積極的に振れるっちゅうわけや。
しかも、そのゾーンを振ってくるやつも少ないから、ホームランになる可能性は必然的に上がる。
というわけで、他にもアリだという部分(ゾーン)がないか、自分のことを調べるんや。そこから気付ければ更にパーセンテージあがるでぇ?」
女性は頷きながら聞いていた
「なるほど。何か見えてきた気がする!」
「なんなら、それに気付けたらな、今まで対象として見てなかった男が頭の中に思い浮かぶはずや」
大男に言われてこれまで出会った男性を思い浮かべた
暫く考えていると大男は隣に腰かけている中年男性に声をかける
「そう言えばおっちゃんは独身なん?」
「ああ、そうだよ」
「勿体ないなぁ~。有名大卒で、タッパも186センチあって年商八桁いっとるのに、貰いてが見つからんて。世の中厳しいんかな~」
「ふぁっふぁっふぁっ。そうだね。こればかりは縁だし運もあるんじゃない?」
女性は立ち上がった
「マウンテンファームさん。私と結婚してください」
中年男性に深く頭を下げ 右手を差し出すその様は 告白タイムで女性の返事を待つ男のようだった
「マチルダ君。私なんかでいいのかい?」
「はい。私気付きました。理想の男性が目の前にいたことに」
中年男性は少し間を置き 女性の右手を握り返した
「大分年は離れているが、気持ちはまだまだ若いもんには負けてないと思っている。どうかよろしく頼むよ」
「はいっ!こちらこそよろしくお願いします!」
そんな二人を鼻くそをほじりながら見ていた大男は水を飲み干すと立ち上がった
「打てたやん。ホームラン。それも特大満塁サヨナラホームランやないか」
女性は涙目になりながら大男にお礼を言う
「本当にありがとうございました!アナタに言われなかったら気付きませんでした!」
「いや、別にワイやなくても気付けてたと思うで。まぁ、これからが勝負やからな。じゃあ、おっちゃんまた来るわ幸せにな!」
「ああ、有難う。君のお陰だ。またゆっくりお礼を言わせてくれ。待ってるよ」
そう言うと大男と中年男性はこっそりウインクして別れを告げた
そして無事に中年男性とその女性は結婚したのだった
「ワイもまたグワラゴワキンとホームラン打ちたいわ」
はい。
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