ジョンに告げられる新たな情報

ジョンに告げられる新たな情報

「ジョンとミリガンはどうなる?蠢く影と運命に翻弄される青年 」の続きです

ジョンは淹れたコーヒーをジルの前に置いた
ジルは軽く会釈しカップに手に取ると 少しの間 波紋を寄せる暗い液体を見つめゆっくりと啜る

「悪くない味だ。よく淹れるのか?」
「ええ。好きで毎日豆を挽いて飲んでます」
「そうか」

そしてまた一口含み沈黙が生まれる

「あのう、マチネさんがどうかしたんですか?」

先程マチネの話を聞いたジョンは警戒心を強めるも 怪しまれないように至って冷静であるように努める

「昨日の一件があり、マチネはお前に対して変な真似をしてないか確認しにきた」
「変な真似?いや、マチネさんはいつも親切にお世話をしてくれています。今回の事も心配してくれました」

ジョンは思いがけない問いかけに疑問が残る

「そうか。・・・ならいいのだが」

ジルは何か考えているようで テーブルに置かれたコーヒーの少し手前のあたりに獲物でもいるのか 険しい表情で睨んでいる

「その、変な真似というのはどういう意味なんでしょうか?」
「そうだな。単純に言うとお前を襲うような事といった意味だが」
「お、襲う!?マチネさんがそんなことするわけないじゃないですか!」

マチネに親しくしてもらっているジョンは あまりにも検討違いなことをジルが言うものだから 段々と感情的になる

「いきなり来て言うことってそれですか!?僕はもうすぐ牢屋に入れられるんですよ!ご存知かと思いますが!」

「分かっている。だから時間がないので、単刀直入に聞いたんだ。お陰でお前はマチネの素性を理解していないことが概ね理解できた。お前は知っておいた方がいい。今後のためにな」

ジルの淡々とした物言いに憤りを感じながらも マチネの素性という言葉も気になった
そこに含まれた意味は少なくとも良い意味ではなさそうだと思った

「マチネさんの素性とは一体・・・。 あの人は街の皆に愛されていて、絵にかいたような善人者です。何か悪いことでもしているのですか?」

ジョンの目をじっと見つめ 何かを推し測っているように見えた
そしてその検問にクリアしたのか ジルは小さく息を吐き語り始める

「いいか?時間がない。簡単に説明する。一度だけしか言わないから、よく覚えておけ。
マチネは確かに善人者だ。基本的に悪いことをするような真似はしない。むしろ悪いことをしたらそれに対して厳しくジャッジするくらいだ。
しかしな、それが時に行き過ぎると危険が生じるのだ。お前はあらかた知っているだろうが、いや、悪いが知っている前提で話しをさせてもらう」

目で確認をとるジルに ジョンは混乱しながらも小さく黙礼で返事をする

「お前の先祖にあたるこの国であった王が殺され、そこを好機と見た隣の国が攻めいり結果として滅んだ。
そしてその元凶となるのが村長の祖先だ。村長はご自身の血筋を恥じていらっしゃるが、今は村を再建し再び国にするべく、尽力なさっている。

しかし、村の者の中には今でも村長やその一族を深く憎んでいる。それは強烈なものだろう。
その過ちを絶対に許すことなく、村長が村を混沌と闇に変えてしまうと盲信している集団がいる。
マチネはどうやらその集団のトップに立っているらしい。

彼女は国だった頃の時代を愛しており、その愛国心は少し行き過ぎたものがあるという。
何故そのような形になったのかは分からないが、特に殺されてしまったアレクサンダー国王に対しては神のように崇めているらしい。
だから、国王の暗殺を企てた村長の一族を許さないのと同時に、国王の子孫やお前を深く愛しているというわけだ。

前置きが長くなってしまったが、本題に入ろう。

マチネはどうやら、秘密裏に国王の子孫やお前のウエディングハントを邪魔しようと画策しているようだ。
隣の村の人間と下手に結婚させると自分の計画が潰れるからだ。

正直まだ計画がどんなもなかは明らかになっていないが、おおよそ国を再建するための駒としてお前を手中に収めたいのだろう。何ならお前の種を搾りだし、既成事実を作ることも考えていたはずだ。お前の遺伝子は計画に必要だからな。

だから、今回隣の村の娘二人組をお前たちの所に送ったら、マチネの手下であるローイ達が妨害してきたわけだ。

お前たちには悪いがあそこから騒動になって良かった。これは誤算だったが名目は牢屋行きでもこれで、お前を保護できるからな。

というわけで、お前は別に罰せられる訳じゃないから安心しろ。もちろんお前の友人もだ。
あくまでマチネがどう動いてくるか調べるためだからな」

ずっと黙って聞いていたジョンは混乱が更に拡大していた

信頼していたマチネのこと
本当なのだろうか

悪者だと思っていた村長は実はそうでもないのかもしれない

そして今ジルが話した事はマチネもそうだが 果たして本当のことなのか

自分は国王の子孫と言われているが それも間違いでやはりジョン・バリウムという孤児院で育った普通の村人なのではないか

どちらにせよ村長側とマチネ側の問題であって 自分は関係ないのではないか

あまりにも沢山の情報がこの数時間の間に詰め込まれたので 頭の中のメモリーが一杯にならないように容量を空けることで必死だった

疑問点も多く質問したいことは山程あったが 一つも言葉に出てこなかった

ジルも察したのか溜め息をついてゆっくりと立ち上がる

「いきなり来て訳も分からないことを色々言われて混乱するのも分かる。しかし時間がなかったから今回は確認せずに喋らせてもらった。また会うことになるだろうからその時にでも質問があれば聞いてくれ」

「あの、それなら何故今わざわざうちに来て説明して下さったのですか?」

ドアの前で立ち止まりジルは少しの間考える

「予習はしておいた方がいいからだ。いいか?俺と村長は同じではない。保護されたら、自由にお前のところに行き来できるかも分からん。だから、じっくり復習しておくことだ」

そう言うとジルはドアを開けて最後にコーヒーの礼を言い足早に去っていった

ジョンは呆然と閉まったドアを見つめていた

もはやどうしていいのか分からなかった

ジルは”俺は村長と同じではない”と言っていた
どういうことだろう

やはり村長は自分に対して味方ではないのか?
逆にジルは味方ということになるのか?

今はどんなに考えても分からなかった

そして時間通り村長の部下と思われる者がやってきて ジョンを連れて名目上牢屋の方に進んだ

ジョンは国王の子孫であることを一種の呪いだと思った
これから先どうなるかを考えたくなかった

唯一 ミリガンの事を案じていたのだった

夕暮れの日は寂しくも眩しかった

続く

はい。

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