ジョンとダンテの邂逅(ウエディングハント)

ジョンとダンテの邂逅(ウエディングハント)

前回の話↓

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翌朝ジョンは窓の外をぼんやり眺めていた

ゆうべは手紙の内容が気になってあまり眠れなかった

生欠伸が出る度にやるせない思いになるが
今日も一日が始まるわけで しっかりしなきゃと 大きく息を吐く

漠然とだが今日は何か起こると感じていた

それは謎の手紙に書かれていた【ダンテ】という男に会うことを命じられていたこともあるが

もっと大きな見えない何かが ガタゴトガタゴトと音を立てて動くような予感があるからだ

その事を考える度に 窓から見ている景色が どこか他人事のように思える

色彩はあるのだが 全てが褪せて見える

物や人の輪郭がぼやけて 虚像じゃないかとさえ感じる

もしかしたら虚像なのかもしれないと ジョンは思った

暫くしてからドアをノックする音が聞こえ 時間差でドアが開く音が聞こえた

村長の側近の者だった

失礼、今日は来訪されている客人達を、この敷地内にあるテラスに呼び、パーティーを開くそうだ

ジョンはゆっくりと頷く

そして村長は村の人間を数名含め、外部の人間達とウエディングハントをしてみて、
この村の伝統的な催しを知ってもらおうと考えておられる。
そこで、貴殿にもチャンスを与えたいと、村長の寛大なるお心もあり、是非この催しに参加するよう命ぜられた。感謝するんだな

はい。村長には感謝してもしきれないと思っています

側近は深く頭を下げるジョンに満足そうに頷くと 上等な布でくるまれた高級そうな衣服を渡す

それでだ。これを貴殿に貸し出す。本日の正午にまた呼びに来るから、それまでに支度しておくように

ありがとうございます。あのう、これ僕が着ていいんですか?

首を傾げながら訪ねるジョンに 側近は呆れたように答える

おいおい、来訪されている客人の前でその格好はマズイだろ。ちゃんとした服装で出向くのが礼儀だからな

なるほどと呟きジョンは再び深く礼を言い 側近は出ていった

服はシンプルで控えめな色使いだったが 素晴らしい材質でとても丹念に織り込まれた一張羅となっていた

早速ジョンはその服に腕を通し 崩れたとこはないかチェックして正午に備えた

時間になる少し前に先程の側近がやってきて テラスに向かった

テラスに着くとジョンは思わず目を奪われる

ウッド調のテラスは思っていた以上に広く豪華な造りになっていた

庭が広がり 数種類の果実の木が壁の役目をしていて相当な数が植えられている

テラスだけでなく庭の方にもテーブルがいくつか置かれて 食べ物や飲み物がところ狭しと並んでいる

そのテーブルを囲うように男女が並んで談笑していた

皆 佇まいが上品で 高い教養が備わっているように見える

緊張して動けないでいるジョンに側近が声をかける

まさか緊張しているのか?

は、はい。こ、こんなところに来る機会なんてないですし、ましてや村の外の方達とお会いすることもあまりないので…」

確かに一般的に村民は会うことが中々ないかもな。だが臆することはない。今日いらしている方々は、
普段いろんな国や町、村などに情報をやり取りするために出向いている旅人みたいなものだ。外向的で気さくな人間ばかりだから、話をしてみるといい。何より貴殿にとってはチャンスでもあるからな

側近はジョンに軽くウィンクをして口の端を上げてニヤリと笑う

チャンスですか?

おいおい、これはウエディングハントでもあるんだぞ?貴殿に話したと思うが。貴殿にとっても女性を見つけるチャンスだからな。悔いのないように

そう言ってジョンの肩を叩くと また時間になったら呼びに来ると言い残しテラスから建物内に戻っていった

側近の人は案外良い人なのかもしれないとジョンは思った

そして入れ違いに また違う側近とミリガンがやってきた

側近はミリガンをテラスに連れてきたかと思うと また呼びに来るとだけ言って去っていった

やあ、ジョン。うわあ、この建物内にこんな素敵なとこがあったなんて。スゴいね!

ミリガンさん、こんにちは。僕も今来たところで、綺麗な眺めに見とれていました!

ジョンはミリガンが来てくれたことに内心ホッとしながら 軽く話をした

ミリガンも着替えさせられたようで ジョンと似たような服装に変わっていた

それにしても緊張するね。思っていたよりも人も多いし雰囲気も違うし

ええ、僕も緊張してます。うちの村や隣村の人間以外の人とほとんど会うことないですからね

そう言いながら 二人はテラスから庭にいくつか置かれている中でも 端の方にあるテーブルに落ち着くことにした

そしてとりあえず飲み物を飲んで辺りの様子を伺おうとした

その時不意に二人の視覚から外れた方から男の声がかかる

おいおい、男二人で庭の端っこにいて何やってんだよ。あれ?それとももしかしてお二人はカップル?

ジョンとミリガンはビックリしたが カップルと聞かれて慌てて答える

「「違います!友達です!」」

ははは、そっか。ならこっち来いよ。話が好きな連中が集まってるんだ。相手してくれ

そう言って男は笑いながらジョンとミリガンの背中を押して 中央のテーブルに向かって進む

男は沢山いる男女の中に入ると ジョンとミリガンを輪の中に入れて自己紹介させた

皆にこやかに挨拶を交わし 和やかに談笑が始まった

そこに一人の女性がジョンとミリガンに質問する

ねえ、この村って面白いことしてるのね。ウエディングハントだっけ?私の国にはこんなイベントないから羨ましいわ~

ええ、村人同士での結婚が禁止されているんです。産まれてくる子供が病弱になりやすいからという理由で隣村の方と結婚するのが一般的ですね。なぜ子供が病弱になりやすいのかは不明なんですが

へえ~不思議ね。そういう理由なら仕方ないわよね。私グレアよ。国から情報を伝えに旅して回ってるの。疲れるけど、楽しくやってるわ

そう言ってジョンとミリガンは挨拶してグレアと握手をした

グレアは人懐っこい性格で明るく 人当たりが良い女性だった

グレアはジョンとミリガンに自分の国の話をして 二人のリアクションが良かったので得意気に色々話す

すると先程声をかけてきた男が現れ声をかける

はは、グレアはすっかり話に夢中だな。聞き上手な男には弱いってか?

ちょっと!邪魔しないでよ。ダンテだって聞き上手な女性に弱いくせに

くっ、うるせえ!俺の場合はなあ、ちゃんと情報交換をしてるんだよっ。そのために先に提供してるだけだ

あら、その割りには提供と収集の比率が9:1って感じだけど

ぐぬぬ

グレアとダンテと呼ばれる男のやり取りに 慌ててジョンは仲裁に入る

まあまあ!落ち着きましょう!今日はせっかくのイベントなので楽しんでいきましょうよ。」

そう言って二人の間に入り取り持つと ジョンは男の方に向き直り問いかける

ところで、あなたはダンテさんなんですね?

ああ、そうだ。俺もグレアと同じ仕事をしていて、この村に来てるんだ。よろしくな

そう言ってジョンとダンテは固い握手をした

ジョンは手紙の文面を思い出しながらダンテを見つめた

この人だと思った

この人から話を聞くことが何かが起こるカギになるのかもしれないと

ダンテは中肉中背で肌は日焼けして浅黒く 目鼻立ちがクッキリしている

眼の奥に強い光を感じ 体つきもガッシリしていた

真っ黒い髪と眉毛と髭にも力強さを感じた

ジョンは確かに心の奥にあるものが反応したのを感じていた

それはまだ分からないが 未来に繋がる何かだということは分かっていた

続く

はい。

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